い草の歴史
天然素材い草
畳は、古事記に「すげ畳しきて」等という文句があるように、二千年位前からあったようですが、その当時は「すげ」「すが」「かや」等を織って畳表としていたようです。
それが、いつ頃からい草を用いるようになったかはっきりしたことは分かりませんが、神功皇后にからむ言い伝えが残っています。この言い伝えは二つあって、一つは神功皇后が三韓征伐の際、現在の岡山県倉敷市庄の松島(当時は島だった)に船をおつけになった時、土地の人がい草で織った畳表を敷いて戴く様献上したという説です。
現在も倉敷市松島には「五座八幡社」が祭ってあります。
他の一つは、皇后が備後の鞆にお着きになった時、広島県沼隈町から献上したという説です。それがもとで今でも天皇ご即位の際は沼隈町千田村から畳表を献上するならわしになっているそうです。
どちらが事実か分かりませんが、いずれにしてもその時代にい草で畳表を編んでいたと考えられます。い草は昔から我が国にあったのか、外国から入ってきたものかはっきりしませんが、これにも二つの説があります。
一つは、呉の国から竹の節を抜いてそれに苗を入れて持って来た、そこから「ござ」という名が生まれたという説です。
他の一つは、大昔から朝廷の御座に用いられたので「御座」が「ござ」になったという説とがあります。
い草の栽培
い草は7月上旬に、い苗を畑に植えつけます。その畑地で育った苗の株を12月に小さく分けて、稲を植えるように水田に植えかえます。寒い頃を通して株が増え5月の中旬頃の短期間に先刈りを行います。先刈りは株を増やし、新しい芽を伸ばすために行います。6月に雨や風でい草が倒れないように網かけをします。 7月のもっとも暑い土用の炎天下に刈り取りが行われます。刈り取ると同時に染土を水に溶かした液の中に入れ色をつけます。
・・・・・・これを泥染といいます。
昭和20年代の後半から同30年代には概ね6年の周期で増減し、40年代になって10,000ha前後程度で、岡山県が4,000~5,000ha、広島県が1,500ha、その他、高知、福岡、熊本、香川の各県が産していましたが、岡山県は工業の発展と共に減少し、平成17年の植え付けは熊本県1,630ha、福岡県65haで、全国の植え付け面積は、1,700haあります。平成24年時点では、中国作付面積約4,100ha、国内作付面積 約880ha、うち熊本県が約840haとなっています。
「いぐさ」~「畳表」ができるまで
「いぐさ」ができるまで
1.苗堀り
8月に畑(苗床)に植え付けられた苗を掘り出し水田苗床へ植付け育苗します。それを11月下旬に掘り出し、本田植え付け株用に値切り、株分けの調整をします。
2.植え付け
調整された苗は、12月上旬からいぐさ移植機等で植え付けします。
3.先刈り
5月上旬ころ、根元まで日光が当たるよういぐさの先端を刈り払って、新芽の発芽を促します。(収穫45日前頃に出る芽が長くて高品質のいぐさになります。)
4.網張り
いぐさは、150cm以上に伸長するので倒れないように水田全体に網を張ります。
5.収穫
6月下旬から7月上旬にかけ、良く生育し充実したいぐさを刈り取ります。刈り取り時間帯は、気温が高くない、早朝や夕方です。
6.泥染め
刈り取られたいぐさは、その日のうちにいぐさ独特の色、香り、光沢を出すため、天然染土を使って泥染を行います。その後、乾燥機で乾燥させます。
「畳表」ができるまで
7.製織
乾燥されたいぐさは、長さごとに選別し、傷、太さのチェックをして一枚一枚田谷表に織り上げていきます。
この時、QRコードタグを挿入します。
8.仕上げ
製織された畳表は、一枚一枚織り傷がないかなどをチェックする仕上げを行います。
9.検査
高品質の畳表をお届けするため、熊本県畳表検査資格(自主企画)に基づいた厳しい検査を受けています。検査に合格した畳表には検印が押され、高品質の畳表であることが保証されています。
10.出荷
国産表示シールや製品表示票等をつけて、全国に出荷されています。
「染土」って何?
染土は、淡路島産や広島県産の良質の天然粘土が使用されています。
泥土で泥染めすることで、表面をコーティングし、均一に乾燥するように手助けします。また、茎表面の葉緑素の酸化を防ぐので、青く新鮮な状態を長く保つことができます。畳表独特の香りも、染土を使うことで、生じます。