畳表
畳の構造
高級な畳表はひげが長くて美しい。
それは、いちばん質の良い部分を畳表に多く使えるからなのです。ひげが長くてきれいなほど、長いイグサを使っているという目安になります。また、重量やイグサの使用本数も品質の目安となります。
高級品
下級品
※画像は熊本県藺製品卸商業協同組合-youtubeチャンネルより引用
長さを比べる(イグサの長さ・ひげの長さ)
イグサの長さは100~150cm。長ければ色も太さも均一な所を使用できます。
茎に変色や傷などがなく、一本一本の太さや色が揃っているものが高品質な「イグサ」です。
そして、このようなもので根元と先端を除いた中央の部分を多く使用した畳表は、上質と言えます。一枚の畳表には、約4,000本から7,000本の「イグサ」が使用されますが、一般的には、長い「イグサ」を使用し、本数も多い程美しい畳表になります。
縦糸を比べる(縦糸の種類・芯の数)
畳表を織る時に使われる糸の素材で比較します。
「綿⇒麻⇒麻+綿⇒麻+麻」
の順番で高品質になります。良い物ほど肉厚で腰があり、境目がはっきりしています。
「イグサ」の折り込み本数や品質で強度などを判断し、麻糸、綿糸、化繊糸を使い分けています。綿糸より麻糸の方が、強度が強くなりますが、高級品には、配(畳の目の山なりの部分)と配がくっきりとなるように一の目に経糸を2本使用(二本芯)にしているものもあります。
色を見る(ツヤ・色調・変色)
泥染めに使われる染土が色をきめる重要な要素になります。
端の方の色のバラツキは色ツヤで判断します。
天然の染土で泥染をすることにより、いぐさの表面をコーティングし、均一に乾燥する手助けをしてくれます。また茎表面の葉緑素の酸化を防ぐ働きがあるので、新しい状態を長く保つことができます。
そして畳表の独特の香りも、この染土を使うことで生まれてくるものなのです。泥染めすると、太陽熱をよく吸収して、茎の温度が早く上がって乾燥が早くなります。
この乾燥の促進によって、酸化酵素が働かなくなり、葉緑素が分解されずに固定するため色彩が良くなります。
また、粘土の被膜ができているので間接乾燥の状態になって、水分はまず粘土の粒子に吸収されてから蒸散するので、イグサの表皮の細胞が急激に萎縮しないし、乾燥が平均にすすんで変色しません。反対に、泥染めしないで乾燥すると乾燥が遅れるため、イグサが褐色に変色し目方も軽くなります。そのため、製織しても製品の商品価値はなくなってしまいます。
肥後物産株式会社サイトより引用
時間の経過と共に品質の違いが表れる
敷き込んだ当初はイグサの葉緑素で青味がありますが、半年から1年もするとあめ色に変わります。青味がなくなることが品質の劣化と思われがちですが、退色と品質の劣化にはほとんど関係はありません。
実入りの良い新芽中心で織った製品は、葉緑素が分解しても、草の繊維は良い状態で保たれます。
品質の良いイグサは年月を経てその風合いに深みと艶が出て美しくなります。
畳縁に近い部分の元白の有無や枯れ等の混入程度で判断できます。
高級品は、時間が経過しても、ほぼ黒い筋は現れませんが下級品は時間の経過とともに黒い筋が発生します。
黒い筋が出てくるのは、イグサには、新芽と古芽があり、古芽が黒くなる傾向がある為です。下級品には、古芽が多く織り込まれている為に黒筋が目立ってきます。
高級品
黒筋なし
下級品
黒筋あり
また、高級品に比べて下級品は皮向けなどが早い時期に発生し、耐久性が落ちます。
高級品
皮向けが見えない
下級品
皮向けが発生し、耐久性も落ちる
※画像は熊本県藺製品卸商業協同組合-youtubeチャンネルより引用
畳床
目に触れる機会は少ないですが、大切な畳床。
自分の家の畳はワラ床を使用していると錯覚している人が多いと思います。しかし現在の新畳の約85%は建材床なのです。
ワラ床
昔ながらの、ワラを何層にも重ね合わせたもの。畳ならではの感触や味わい、吸放湿性・耐久力・復元力という点で一番優れています。
ワラサンドイッチ床
ワラの間にポリエチレンフォーム・インシュレーションボード等を挟み込んだものです。
建材床
ワラを一切使用せず、ポリエチレンフォームやインシュレーションボードを使用したもの。ダニ・カビが繁殖しにくく、断熱性・防音性・耐久性等に優れています。